相続放棄が認められた後にすること
1 債権者への相続放棄完了の通知
相続放棄が裁判所で認められた後は、債権者に相続放棄が完了したことを通知した方がよいといえます。
通知がない場合、債権者から督促状が送られてきたり、訴訟を起こされたりする場合もあるためです。
相続放棄が完了しましたら、速やかに債権者に通知しましょう。
通知は、書面だけでなく、電話で伝えるのでも構いません。
なお、債権者との対応がご不安な方は、一度専門家にご相談ください。
2 他の相続人への通知
相続放棄が裁判所で認められましたら、他の相続人にも通知しましょう。
一部の相続人が相続放棄した後は、被相続人の借金等は、他の相続人や次の順位の相続人が受け継ぐことになります。
そのため、他の相続人等に迷惑をかけたくない場合はできる限り、相続放棄が完了した後に、他の相続人に通知をしましょう。
また、相続放棄の時に相続財産を占有していた相続人については、相続放棄をした後であっても相続財産の保存義務が発生しますが、他の相続人に相続財産を引き継げる状態にした後は、この保存義務が消滅します。
そのため、他の相続人に通知をすることで、保存義務を免れることができる場合もありますので、他の相続人への通知はしておいた方が良いでしょう。
3 相続財産清算人の申立て
相続人全員が相続放棄をした場合、放棄時に占有していた相続財産については、保存義務が残ります。
保存義務を負っている状態のときに、相続財産によって、第三者に損害を与えてしまった場合、その責任を負わなければならない場合もあります。
例えば、老朽化した建物が遺産にあり、相続人全員が相続放棄をした後に、その建物のブロック塀が崩れてしまい、通行人にけがを負わせてしまった場合などは、その責任を負わなければならなくなるかもしれません。
そのため、相続人全員が相続放棄を完了した後、相続財産の保存義務を免れるためには、相続財産清算人を選任する必要があります。
どのような場合に、相続財産清算人を選任すればよいのか、相続財産清算人を選任する方法、必要書類などの詳しいことについては、一度専門家にご相談することをおすすめします。